立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
芍薬の根、牡丹の根皮、百合の球根は生薬として婦人科系の漢方薬でよく使われます。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
これは美人を喩える言葉として知られていますが、もともとは漢方薬の生薬の使い方を表す言葉だともいわれています。
立てば芍薬とは、気が立って落ち着きがなく、だまって座っていられないようなタイプの女性には
鎮静鎮痛作用のある芍薬を使った薬が適している。
座れば牡丹とは、座ってばかりいて血行の悪くなっている女性には
古い血をとる働きがある牡丹を主に使った薬が適している。
百合の花のようにゆらゆらしながら歩くような精神的不安定さがある女性には
精神を安定させる作用のある百合を主に使った薬が適している。
といった意味になります。
月経前症候群(PMS)、生理痛、更年期障害、不妊症などの原因は根っこのところでつながっており、漢方薬ではこれらの症状をすべて「血の道症」と呼んできました。漢方薬には血の道症のさまざまな体質に応じた数多くの処方があり、女性特有の症状の改善をとても得意としてきた歴史があるのです。
月経前症候群(PMS)の場合、生理がくると症状がなくなるため、身体の中に「よどんだ血の滞り」ができていると考えられます。
なぜこのような滞りができるのか、その原因はいくつも考えられるのですが「消化機能の低下」「ストレス」「血行不良」「エネルギー不足」なども関係しています。
人によって違う原因を把握し、的確な処方を選ぶことが漢方薬にとっては大切になります。